大きく4つの分野で企業経営の要素を体得しましょう。
後継者を「社内の様々な部署に配属する」のは、単に営業、経理、生産、といった既存の部門の一員として業務経験を積めば良い訳ではありません。
後継者が、企業経営の要素を(一般論だけでなく)自社に適した形で体得し、実践できるようになることが重要です。
そのために、後継者には、現場における役割を与えて、実績を積ませるのです。
ここでは、企業経営の要素を「オペレーション」「財務・会計」「マーケティング」「人事・組織」に分けています。 それぞれの意味する具体的な内容は、企業によって多少異なります。 ラーメン店を例にあげて、後継者が実践すべき企業経営の要素を考えてみましょう。
「オペレーション」で実践すべき要素
- 日々、店内を清潔に保ち、美味しいラーメンを作り、お客様をもてなすこと
- 日々のお金の出入り、原材料や備品などの調達や管理を行うこと
- 日々、業務を改善し効率化すること
「財務・会計」で実践すべき要素
- 会社の資産(店舗や設備、在庫や売掛金など)、負債(長期・短期の借り入れ、買掛金など)の現状を正確に把握すること
- 将来必要になる資金の見通しと、資金調達の計画を立てて実行すること
「マーケティング」で実践すべき要素
- 来店するお客様の傾向(年齢、性別、味の好みなど)や地理的な分布(商圏)、同じエリアのラーメン店や飲食店の状況を把握して、自社の方針を決めること
- 店舗コンセプトやメニューの構成、集客方法などを計画し実行すること
「人事・組織」で実践すべき要素
- 業務の流れ(フロー)に応じた、組織や各従業員の役割(業務)を決めること
- 従業員が業務で必要なスキルを身に付けられる仕組み(教育や評価制度など)を計画し実行すること
- 社長や後継者が、良い態度・行動を率先して示して、良い社風をつくること
例えば、この企業では経理担当者の主な仕事は、日々発生する伝票を輪ゴムでとじて、税理士さんに渡すことかもしれません。 その作業を経理部に配属された後継者が経験しても(問題意識は芽生えるかもしれませんが)それだけでは「財務・会計」という企業経営の要素を体得したことにはならない、ということです。