後継者による取引先の維持

事業承継

後継者による取引先の維持

質問

後継者に、取引先を引き継ぐには?

答え

社長個人の資質のみに頼らず、商品やサービス、自社そのものの魅力を磨きましょう。


 後継者へ経営をバトンタッチしてしばらくすると、付き合いの長かった取引先が離れていくことがよくあります。 多くの場合、先代(現社長)はこれを後継者の資質に起因するものと考えて、自分(個人の力)で何とかしようとします。

 これを取引先の立場から見ると、あなたの会社に取引を続けるほどの魅力がなくなった、ということです。 ほとんどの場合、現社長の個人力で解決することは難しいでしょう。

 取引先に限らず、会社と利害関係にあるステークホルダーにとって、会社の魅力とは、大きく三種類に分類されます。

  1. 会社そのものの魅力
  2.  これは、会社の規模が大きい、業績が安定している、知名度が高い、企業イメージが良い、など、その会社と関わること自体に、前向きな気持ち(動機付け)が働く場合を指します。 中小企業で、従業員の教育が行き届いていて、皆、魅力的であるような場合も、ここに含めて良いでしょう。  


  3. 商品・サービスの魅力
  4.  これは、商品・サービスが高品質・低価格・短納期な場合はもちろん、入手性や提案力、アフターサービスの充実、デザインの良さなど、商品・サービス全般に良い印象を持っている場合を指します。
     


  5. ヒト(社長・従業員)の魅力
  6.  これは、取引先などが、会社や商品・サービスよりも、特定の個人に関わることに対して動機付けが働く場合です。 接客を伴うサービスや、営業員が転職先の会社に得意先を持っていってしまう場合などが、分かりやすい例です。


 今回のケースのように、現社長から後継者へ、バトンタッチされるタイミングで取引先が離れていく場合、考えるべきことは、後継者の資質よりも、社長が交代しただけで取引先が離れていく程、自社やその商品・サービスには魅力がないのか、ということだと思います。 ケースによっては、従業員が全般的に魅力に乏しい場合もあるでしょう。

 社長個人の力で取引先をつなぎとめるような経営を、世代を越えて続けることは困難です。 自社の魅力をもう一回検証して、バランス良く磨くようにしましょう。


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カテゴリー:STEP2 候補者選び・後継者育成